◎月 ○日  No223 商売の道


香霖が珍しく私に相談してきた。 客は満足して帰るのに何故商売がうまくいかないのか?
原価意識や在庫管理はさておいて、私が個人的に考えていることを話すことにした。


商品を売ると言うことは、商品を右から左へ流すことではない。
そんなことは式神や妖精にやらせればよい。 
客の希望のものを聞きだして、それを送り届けるのもありだがそれだけでは足りない。


商売を続けるためには、彼らの考え方や習慣を学んだ上で
そこから本当のニーズを割り出して提案することが必要となる。
商品をただ並べるだけは商売とは言えない。
現在、香霖堂は外の世界の物品を扱っている。
その商品は他では入手できないすなわち、「商品力が高い」から、店として体裁を成しているが
最近の霧雨店の動向を見るにつけ、香霖堂のアドバンテージも近い将来なくなってくるのは間違いない。
お客が完全に離れる前に、お客を知ることが大切ではないだろうか。


香霖はしばし思案して、難しい顔をして見せた。 私も言っておきながら方法論も提案できないのはどうかと思い
香霖堂にやってくるお客様を想像してみる。 
博麗の巫女、霧雨のご息女、メイド長、顔と言う顔が頭に浮かんだが
ふと自分で言っておきながら理解するのは難しいと思ってしまった。 
商売の道は奥が深い。