○月 ×日  No312 八雲商事の通常業務とは


私の会社は博麗大結界の外の世界 すなわち顕界からからせっせと
物資を運びこむ仕事をしている。
たとえば、砂糖や塩などといったものから河童の工場で利用される鉄鉱石やボーキサイト 
発電用のメタンハイドレートなどさまざまである。
いわば合法的な神隠しであり、隙間妖怪の悪戯を高度にシステム化したものと
言えばいいだろう。
そこに従事している私には特別な力なんて便利なものはない。 
隠された力があるなら今すぐにでも使いたい。
人間と妖怪はそれくらいかけ離れた存在だ。 
妖怪の前には私の命など朝露のようなものだ。


私たちは外の世界の人間でありながら妖怪たちに捕食されない特権をもっている。 が
完全に守られているかは怪しい。 
幻想郷には日々新しい妖怪が流入しており
所謂新参妖怪には幻想郷のルールが正しく伝わっていないことが多いのだ。


先日は家に擬態していた妖怪に危うく人肉を喰わされるところだった。
恐らく毒などを盛って行動不能にしたところを捕食するタイプなのだろう。
もっともこの妖怪屋敷は私のお客様でもある。
私は宛ら彼らに餌を運び続ける働きアリといったところだろうか。


たまに変な荷物も運ばないといけない。 妖怪たちの春画がそうだ。
天狗たちが春画を印刷しようとしないので、我々がそういった代物を
運ばないといけないのである。
最近は薔薇系も大流行で、カミ様のコラージュ春画ほしさに
月兎たちが大行列を作っているところを目撃した。
先日朝倉がせっせと作っていたやつだ。 
確か胴体は香霖だった気がするが知らぬが花であろう。