○月 ★日  No313 幻想の病気はかなりこわい

社内部で予防接種ラッシュ。
幻想郷では結界の外ではとっくに撲滅した病原体の類もそのまま生きているため
面倒でも予防接種が欠かせない。 
逆に外の世界では妖怪専用の予防接種があるわけだからお互い様である。
幻想郷で勤務するのも楽ではない。 


化学物質は幻想郷には異物以外の何者でもない。
香霖堂へ商品の納品と引き上げをする。 
幻想郷に迷い込んだ様々な物品がここに集まるのだが
商品の引き上げは実はとても重要な業務である。
鉄くずが儲かるというのも事情の一つだが
外の世界の物はそのまま捨てるととても危険だからである。
何気なく捨てた油が、八百万のカミに多大な影響を与えることもある。


香霖に会うと大抵不機嫌な顔をされる。 
私が帳簿のチェックとか店内清掃をやっているので
あちらとしてはあまり着てほしくないのだろうがこっちも仕事だ。
倉庫の中を整理して帳簿の精査をする。だいたいこれで一日潰れる。
自動車のオイルなど、店に明らかに不要なものを回収する。
相変わらず収支報告は真っ赤な色合いと△印の嵐で、
よくもまあ生きていられるものだと常々思う。


そんな香霖堂だが最近は大黒様の隠し撮り写真が売れているらしく、
プライドをずたずたにされながら 生活のためせっせと販売しているようだ。
「商売のためには男のプライドなんて邪魔だ」と香霖が涙を流しながら言った。
恐らくどうやら霧雨のご息女もそれを買ったのだろう。 
"無茶しやがって"と心の底から同情した。
大黒様の写真を失敬してハンドスキャナでコピーする。
朝倉や北白河がほしいと言ってきかないからである。
なんだか私も泣きたくなってきた。
大黒様の外見についてはノーコメントである。