○月 ●日  No314 生命誕生と月の魔力


この星に生命が生まれて早40億年が経過したらしい。
その頃の月はとても近いところにあって、
生命の源である海を大きく揺らしていた。
そこにできた無数の泡の中で代謝を行うものが現れた。
これが顕界出身の岡崎夢美が教える生命誕生のシナリオである。


面白いことに幻想郷の科学者である朝倉理香子もまた
生命誕生には月の魔力を浴びた泡が始まりだったと言うのである。
水の存在とそれを揺らす月の存在 このふたつの条件が重なったとき
生命がこの星に生まれたと言うのである。


このように幻想の世界の価値観と現代の価値観は面白いように
クロスオーバーしていることがわかる。 
解釈の違いこそあれ、言っていることは殆ど代わらない。
これは偶然のことだろうか?


岡崎は幻想の世界の研究で、最終結果は結局のところ科学的なシナリオの中に
収束してしまったと言っていた。 
幻想と顕界の境界とは実はとても曖昧であり、その本質は視点の違いで
しかないのかもしれない。