○月 ×日  No332 パテントの大人買い

とある家電王手企業が経営難に陥った。 
娯楽部門で経営上の大失敗をやらかし数千億の赤字を計上した。
決算の内容を見る限り、現在の在庫が不良在庫することを計算に入れれば、
赤字はもっと膨らむことは必至である。
妖怪資本はこの企業に対して資金注入を行う意向らしい。 なぜだろうか。


実はこの会社の創業者は、幻想の世界の技術を研究して科学的な利用を
試みていたらしい。
これらの研究は実は歴史が古く、かの電球の発明者であるエディソンが
心霊研究をやっていたなど実は科学と幻想の技術の接点は身近なところに
あることが分かる。
この会社も様々な基礎研究がなされているが、成果物は商品化には程遠い代物で、
現在の経営者によって事業が凍結されていた。
だが、月情勢の緊張に伴い彼らの技術を高く買い上げようという動きが始まったのである。
資金注入は同社が持つ不動産を現金化する形で行われた。


ボス曰く「備えあればなんとやら」らしい。
こういった企業が資金難によって敵に乗っ取られることはよくあることだそうだ。
そうなる前にパテントを奪取して合法的に相手の技術開発を封じることが目的だというのだ。
もちろん相手が隠れて開発することも十分考えられるが、そのときは喧嘩を売る口実ができる。
これが情報戦の正体であり、こうした策謀はさまざまなところで繰り広げられているのである。


うちの会社で、その家電会社の不良在庫を社員販売で買える機会があったが、
「壊れやすい」と評判なのでやめておいた。
岡崎がまとめ買いするのでどうするつもりだと聞いたら、「使える部品を分解するのよ」
と答えていた。 酷い話だ。