○月 ×日  No333 信仰のエネルギー


岡崎がオカルトパワーと呼称している力がある。 
朝倉に言わせればそれは「信仰のエネルギー」と言うらしい。
「信仰のエネルギー」とは宇宙物理学の「真空のエネルギー」を
もじった言葉であろう。
「真空のエネルギー」とは宇宙のインフレーション理論において、
宇宙を膨張させる原因を作り出しているエネルギーであるという。 
通常のエネルギーと違い体積が増えれば増えるほどその力を増す。
その特性は驚くほど「信仰のエネルギー」に酷似している。
信仰のエネルギーは真空のエネルギー同様、分祀などにより
信仰者が増えても力が薄まらない。 
寧ろ各地で信仰されればされるほどその力を増すのである。
このように信仰でさえ物理学の世界と不思議な合致を見せるのだから、
宇宙の真理と国生みの神話の世界は
実は密接にリンクしているのではないかと思えるのである。


不思議なことに、幻想の世界の不思議な現象とされていることはその多くが科学的に
説明しようと思えば可能になってしまうのだ。
従って、我々が妖怪を恐れるのは意味がわからないものの恐怖ではない。 
その強靭な身体能力や深遠たる智恵に恐怖するのである。


最近博麗神社周辺へ納品することが増えた。 
妖怪たちが増えすぎて所謂、妖々跋扈状態に陥っていると思われる。
現状で妖怪たちに立ち退いてもらうのは難しく費用的な問題もあったり、
妖怪感情を損ねる可能性もあったりするので
こちらとしては対策を採りにくい状態である。
こんな状態にあっても我々は妖怪を畏怖の対象というより住民として見る様になっている。
もしかすると人間と妖怪の境界はそういうところから崩れていくのかもしれない。