□月 ●日  No2003 エネルギー価格が高くなっておりますが


幻想郷はどうしても燃料の類を外界に依存しないとならない問題がある。
これには幾つかの理由があるといわれる。
一つに幻想郷で化石燃料を掘り出してしまうと、幻想郷を汚染する可能性が高いことが挙げられる。
化石燃料の掘り出しが周辺地域を汚染させ、妖怪達の生息範囲を狭めることは既に知られていた。


汚染に耐えられる妖怪達は地下に潜ったが、妖怪は想像以上に脆弱な生き物である。
たちまち生活できない妖怪達が出てしまう可能性が高かった。
ゆえに幻想郷における化石燃料やLNGの類はどうしても外部から依存しないとならない。


自称現人神達がこうした現状を鑑みて核融合に走るのは極めて自然な流れである。
第一に月面の科学力が流入しやすい環境にあったこと。さらに、月面側のエネルギー支配や
顕界でのエネルギー価格の高騰があったことが重なってあの巨大なプラント作成となったのである。
実のところ、あの核融合の依り代に地獄鴉が選ばれたのも、エネルギーが恣意的な動作を
しないためである。単純な思考形態の妖怪をベースにすることでエネルギーを均等配分する
というのが趣旨だったわけだがいまいちそれが上手くいっているかどうかは別問題だ。


魔力の類はどうだろう。魔界は常時電力が余っているが、これを上に持って行くには何カ所も
変電所を設けないといけないし損失を繰り返すうちに大電力を運ぶことができないことが
わかっている。しかも核融合炉を動かすための電力というのがあって魔界から持って行っているという
なんとも困った問題もある。


そんなわけで幻想郷の電力や燃料はそこまで潤沢にあるのではないのである。
もちろん色々候補はあるが、重要なことは瞬発的なエネルギー供給ではなく
安定的な低空飛行であり、インフラを考える者としては頭が痛い問題なのである。


要は先立つものがないと駄目って事だね。