○月 △日  No378 似たもの同士


霧雨のご息女と人形遣いのアリスは犬猿の仲らしい。
私に言わせれば意外なほど馴れ合っており、それほど仲が
悪いようには見えない。
二人の関係が少々ずれている理由についてボスが面白い話をしだした。


実はボスは魔界にいるという創造者、これはすなわち八百万のカミのひとりなのだが
その人物としばしば接触しているらしい。
その理由は、人形遣いのアリスに関することで、最近の行動や
交友関係の報告など多種多様だという。
一方、霧雨のご息女の親御さんである霧雨店の社長も
ご息女の最近の動向について報告しているわけで、やっていることは殆ど
同じというわけだ。


つまり二人は親が子離れできていないという点において境遇が
驚くほど似ているのである。
境遇が似ているということは性格のバックボーンが似ていることを意味する。
性格が似ていればお互いの嫌な部分も見えてしまう。
それが二人の関係について大きな要素となっているという。


確かに人形遣いのアリスに接触してからの霧雨のご息女は、
言葉遣いが大きく変わったことが報告にある。
どちらかという少女らしい発言が目立ったご息女が
ある日を境に男言葉に変わったのだ。
一方人形遣いのアリスの服装も大きな変化があり、
お互いが意識し合っていることが見て取れるのである。


その話を聞くと、妖怪や魔法使いといえど人間同様その環境に
順応することができることがよくわかる。
これまで長寿ゆえに思考が固まり不変であると思っていたので
今日の話はとても参考になる話だったと思う。