○月 △日  No377 米帝の幽霊退治屋


米帝にある民間の幽霊退治専門業者と技術交流。
この業者は独自に幽霊を捕縛するビーム兵器と、幽霊を捕えて封印する専用の
機械を開発しており、一般市民の電話ですぐにかけつけ幽霊または妖怪を捕獲して
いくという商売をしている。
捕獲された妖怪は船便でうちの会社に送られて、列車で運ばれた後
幻想郷で解き放たれるという算段だ。


米帝は国家としての歴史も浅く、おまけに人種のるつぼとあって
死んだ後に正常に冥界に行くことができず、いろいろなところに
滞留する幽霊たちが後を絶たない。
彼らは、人間が食べる物を勝手に食べたり、いたずらをしたりと
微笑ましい程度の迷惑行為をする。


ビーム兵器を見た冴月は「射速が遅い」とぼやいていた。
冴月は、幻想郷に自力でたどり着くことができないような妖怪たちを
幻想郷に送り届けるために専用の狙撃銃を使用している。
ところがこの狙撃銃を使用するためには都度隙間妖怪たちの許可を得ないと
いけないのである。


幻想郷の情勢如何では隙間妖怪との連絡が満足に取れないことが
想定される現在において、独自に幻想郷に妖怪を運び入れることができる
捕縛兵器の確保が急務となっているのだ。


さて、ビーム兵器の開発者はというと 同行した岡崎に記念写真やら
サインやら求めて、まるでアイドルが来たかのような反応である。
それもそのはず、このビーム兵器そのものが岡崎の書いた論文を参考に
作られた物だというのだ。
そして岡崎のその後と同様に、彼もまた学会から放逐され民間の
幽霊退治会社を設立したというのである。
人の縁とは思わぬところで交わる物である。


冴月はビーム兵器を数台借りる手続きをし、梱包を手伝った。
恐らく新倉に改良を依頼する物と思われる。
朝倉は隙間妖怪に納品するためとして普段は行きたがらない幻想郷に
単身乗り込んでいるらしい。
少しずつではあるが幻想郷の情勢もきな臭くなってきたように思う。