○月 △日  No382 夢枕にたって


久方ぶりに白玉楼の様子を写真に納めて魂魄に見せたら
顔が真っ青になって悶絶している。


端から見たらきれいに整理された庭なのだが
確かになにか違和感がある。
写真を拡大してようやく意味を理解した。 
この御庭番は斬ってはいけない部分まで斬ってしまっているのだ。
きれいに切りそろえているだけとも言える。
水をこまめにかけないときれいな緑にならない苔類は
一部茶色いままで見るに堪えない。


庭の雑誌をいくつか買ってきて、とりあえず勉強させるかと
思ったが、出てきた本はちょっと対象年齢が高いものばかりである。
ふたりでほとほと困っていたらボスが通りかかり
事情を説明したら、ボスが魂魄を指さして言った。
メイクで年取った姿になって夢枕に立てというのである。
題して夢枕大作戦。 約一週間、メイクをした魂魄が御庭番に
教授するというシナリオで、早速始めることにした。


ひとつ芽を斬ってはいけない。 植物の形を大切にすること。
今までは自分のやり方を見て覚えろから手取り足取りになったものだから
ぎこちないことぎこちないこと。
こっちが見ていて歯がゆくなってくる。


庭はみるみるきれいになった。
ところが昨日になってあることに気づいた。
送り盆だったのだ。


魂魄が「やっぱり今回で打ち切りだよな。」と聞くので
ボスに相談したら「姫ちゃんと口裏合わせると言う、
そしてとうとう御庭番の夢枕に閻魔様が立って期間延長となった。
かわりに私には閻魔様にクレープを買ってこいと注文がきたわけだが
あらためてボスの政治力と知恵には驚かされるものがある。