○月 △日  No386 白狼天狗の皆さん


白狼天狗といえば、妖怪の山において索敵活動を営む存在である。
うちの会社とも取引があり、妖怪の山にある駅やドッグなどの警備などを
委託してもいる。
彼らの武器は強力な視力である。また暗視能力も備えており、警備活動をするには
うってつけの身体的能力を備えている。


しかしながらすべての警備を白狼天狗に委託できるかというと実はそうではない。
そうでなければ、河童が作ったIRシステムや鴉天狗たちによる風聞検索システムは
無用の長物となっているだろう。
うちの職員も半分くらいは不要になるかも知れない。


以前、朝倉は白狼天狗たちに幻視も併用するように勧めたが聞き入れてもらえなかった
らしい。 白狼天狗はその視力ゆえに己の力をやや過信する傾向があるそうだ。
だが白狼天狗の能力も万能ではない。彼らは視力ゆえに月人たちの行動を看破できず
異変発生まで状態を放置するという大失態を犯している。
もっとも、その件に関して周囲の見方はかなり同情的である。


白狼天狗の視力は時として面白い展開を見せるときがある。
彼らの仕事は普段は暇なため、様々な暇つぶしの手段を考え、
最後は将棋で落ち着いたらしいのだが、一時期ギャンブルが流行っていた。


賭け麻雀から丁半博打の類であるのだが、白狼天狗たちはちょっとした
光の反射から相手の牌を読み取ってしまったり、すごいケースだと
牌についている指紋の形状で相手の待ち役を読み取っていたらしい。


あまりに白狼天狗が荒稼ぎをするので、結局相手になる妖怪がいなくなり
とうとう天狗たちに挑もうとする者はいなくなってしまったそうだ。


そんな白狼天狗、とうとう博麗の巫女に戦いを挑み、敗北した挙げ句
尻ぬぐいを鴉天狗にやらせてしまったとか。
連中立ち直れるのだろうか。