○月 △日  No387 エレクトロニックサンダー


事務所に昔なつかしいゲームセンターのテーブル台が置いてあった。
中身はこれまた懐かしいインベーダーゲームである。
一回遊んでみようとしたら、朝倉に止められた。
人を不幸にするアイテムとして、素人が扱うには危険な存在だという。


朝倉に言わせると、インベーダーゲームは幻想と現実の境界に
作用することが研究で明らかになっているらしい。
弾幕ごっことよばれる幻想郷の遊びにも通ずる遊びだと考えると、
確かにただの偶然とは思えない。


現代ではそれらの作用に対する対策が採られているので問題はないのだが、
対策なしに家に入れた人たちはその後色々な目にあっているという。
そういえば、何年か前にインベーダーゲームを鑑定団に出す
企画でまるでゴミ同然の価格になっていたのを思い出した。


見ると岡崎がなにやらライターを解体している。
電極が露出したライターを朝倉に手渡した。
そして朝倉、それをおもむろにコイン投入口へ差し込んだ。


クレジット投入音
画面はクレジット99を示している。
その模様をカメラに納める岡崎
スペルカードを取り出した朝倉、カードをかざすと
誰も触っていないはずのジョイスティックとボタンがかちゃかちゃと
動き出した。 点数は増えていきやがてカンストと呼ばれる状態となった。


その模様を見ていた朝倉、苦々しい顔になっていた。
「大して格好良くない」とぼやいている。 一体何を見ているのだろう。
岡崎が北白河に99クレジット突っ込んだからお金をくださいと言って
パイプ椅子で殴られていた。
頭が痛くなったので、インベーダーゲームのコンセントを抜いてやったら
テーブル台はそのままゴミ捨て場へと直行してしまった。
どうでもよくなってきたので、私はとりあえず仮眠の準備をはじめた。