□月 ●日  No722 睡眠あれこれ


道ばたで蝉の死骸を見つける。 そろそろそういう季節かと感じ入る。
死んでいるにしては余りにアホ面すぎる面持ちが印象的である。
せめてすぐに土に帰るようにと蟻がいそうな道ばたへ蝉を動かそうとしたら
ばたばたと羽を羽ばたかせて、足をくいくいと動かした後
よろめきながら飛び立っていった。 どうやら寝ていたらしい。


ちなみにこれとほぼ同じ事を夜雀に試しても似たような結果になる。
たいていの場合上空にいる別の妖怪とぶつかって二人とも墜落してしまう。
そこから弾幕ごっこにならないのはお互い気を失っているか
夜雀が墜落したまま寝ているかのどちらかだ。


妖怪たちは一般的に夜活動するものと思われているが、実際のところ個体差がとても激しい。
昼起きて夜寝る代表格はやっぱり風見女史であろう。
一般的に夜起こることが多い幻想郷の異変になかなか首を突っ込めない理由がここにある。
もちろん強引に夜に活動させるとたちまち機嫌が悪くなる。
蛍光灯を当てると少し機嫌が直るらしい。


隙間妖怪は冬眠することが知られているが、ボスに言わせればあれは冬眠じゃなくて寝だめらしい。
現代の幻想郷では冬になるとイベントがなくなるわけではないので、隙間妖怪も
寝ている理由がないらしい。 ただし一度眠るとなかなか起きないことでも有名である。


博麗の巫女と霧雨のご息女の昼夜逆転振りは呆れかえる。
つるんでいる妖怪たちが夜行性ばかりなのがその理由だろう。
メトセラ娘も昼夜逆転振りが酷い。彼女の場合は事実上の夜勤なので仕方ないかもしれない。


夏になると昼間寝るのが辛くなる。
昼夜逆転している妖怪たちや一部の人間にはかなりつらい事態だ。
妖怪たちが夏ばてになるとしたらまず間違いなく睡眠不足によるものだと言って良い。
汗を掻きながらうんうん唸っている妖怪たちを見ると素直に夜寝ろと言いたくなる。


というわけで某所に納品に行っているのだが
その妖怪があまりにアホ面のまま寝ているのでついそんなことを思い出した次第。
全身汗だくで衣服が肌に密着してちょっと艶らしい。
とりあえず起こさないよう気をつけながら帰ることにする。