□月 ●日  No721 はるか遠くからの手紙


友人と昼食を食べに行ったら価格がやたら上がっていて閉口する。
京都大学にいるレンコ嬢たちを発見してしまったために彼女の分のお金まで払う羽目になった。
友人に紹介してくれと言われたが、私とて彼女たちのことをよく知っているわけではない。
未だに自称現人神のことを引きずっているようで、見つかったら連絡をくださいと
散々念を押された。
今の彼女たちを教えたい気持ちに駆られたが、たぶん違う意味で幻滅するだろう。


最近、顕界では燃料費高騰による急激なインフレになっており、
幻想郷への影響が避けられないところまでなってきた。
幻想郷に物資を運ぶと言っても、まず顕界で様々な物資を買い集めないといけないわけで
その分の輸送代が馬鹿にならない事態になっている。
幻想郷に送るときは、燃料費高騰の影響を受けにくい鉄道を使っているが
それでも全体的コストは大変なことになっている。


とても困るのが都度送られてくる新たな仕切り表だ。
数ヶ月に一回のペースで価格が改定されている商品もあり
仕切り表が明らかに追いついていない。
北白河が仕入れ伝票に書かれた価格が注文時の価格と違うというので大騒ぎしていた。


浅間が弾幕を格納するカードを応用して輸送コストを下げればよいのではないかと言うのだが
そんなことをしたら幻想郷の存在が明るみに出ることになる。
当社の取引先はうちが普通の商社だと思って取引しているのである。
ボスは岡崎を連れて米帝へと飛んでいる。おそらく資金注入をお願いしに行っているものと
思われる。


例の神社に商品を納入したら、量が減ったとクレームが来た。
その商品は価格が据え置きになっていたためノーマークだった。
確かに量が減っている。
一応外の世界の事情を知っているので、包み隠さず教えたら納得して貰えた。
ついでに、自称現人神を探している友人についても話をすることにした。
本当は色々まずいのだが。


案の定、無事だけを伝えることはできないかと言われた。
こうなることは予想がついている。
自称現人神が大切に保管していた携帯電話から、二人組のメールアドレスを割り出すことができた。
幻想郷にいる人間が外の世界に連絡するのは適わない。
だが、彼女の言葉を記憶して、外の世界に戻った後にメールを発射すれば問題はない。
メールを受け取ったふたりがどういう反応を示すかは後の楽しみとしておこう。



ルール違反だって?
今回の本当の目的はレンコ嬢とメリー嬢の個人的メールアドレスを
聞き出すことにあったから別に問題ない。