□月 ●日  No720 竜宮の使いが本当にいる場所


竜宮の使いこと永江衣玖
幻想郷よりも顕界で評価が高い妖怪である。
彼女への納品は数ヶ月に一回、得体の知れないコンテナを一個渡すだけだ。
とりあえずモノを渡したら忠告を受ける隙を与えずに有り難うございましたと言って
立ち去るのが一番である。


永江衣玖といえば有名な竜宮の使い。龍神の意志を伝える黒子みたいな存在である。
似たような妖怪にリリーホワイトがいるが、こっちはたいてい碌でもない地殻変動の類を
警告するので彼女を知るものからはあまり快く思われていない。


実はボスも朝倉もそして冴月でさえ永江衣玖が苦手と聞いて少々驚いた。
極端な事なかれ主義、空気を読むと言う名の日和見振りで
博麗大結界生成時の混乱をかき混ぜまくったが他でもない彼女だからだそうだ。


結界生成時の混乱の最中、龍神様の考えを伝える彼女を確保するのは
様々な陣営にとって重要なことであった。
ところが彼女から情報を得ようとしても、空気を読む彼女は妖怪たちの主義主張に
いずれも同意して自分のポジションを示さなかったのである。
最終的に龍神は全ての陣営に等しく鉄槌を下した訳なのだが
場を乱さない行動は結果として本人の信用を失う結果になり得るようだ。


ただ魂魄と小兎姫は割と彼女を理解しているようで
彼女の態度をエージェントとして当然と言っている。


私自身永江衣玖と接して感じるのは、彼女が忠告するときは相当色々鬱屈しているときだと
いうことだ。 彼女の忠告はいろいろな意味で最後通告みたいなものである。
考えてみると地震も雷も勝手に自分でエネルギーをため込んだ挙げ句に
ちょっとした弾みで大爆発してしまうのだ。
最初は一種のパニック障害かと思ったものだ。


また彼女から発せられれる強力な電磁波は、電子機器をしばしば破壊してしまう。
もちろん当社から渡される様々な道具は電磁波対策が施されているわけだが
それでも寿命はとても短い。
ということで彼女絡みの仕事となるとたいていの妖怪が逃げ出してしまい
事情を知らない新入社員かある程度肝が据わってるひとが行くことになる。


特に魂魄は彼女について異常に詳しい。 何故詳しいのかと尋ねたら
彼女は監視対象であるメリーとレンコがいるネットのコミュニティでしばしば出現しては
いろいろな意味でエネルギーをため込んでいるのだという。
少なくても空気を読めと要求されるコミュニティや彼女のスペルカード名を
冠したところは注意がいるそうだ。
公務員にコネがあると色々わかるよねという魂魄の笑いになぜか小兎姫の顔が顔に浮かんだ。
そういうカラクリのようだ。


とりあえず君子危うきに近寄らずを徹底実行していきたいところである。