□月 ●日  No784 身を崩した妖怪の話


秋の寒空が身にしみる黄昏酒場
久々に借金取りの鴉天狗と鉢合わせる。
儲かりますか? ぼちぼちですなというやりとりの後なかなか黒い話を聞かせてもらった。
途中、有江さんが混じって黒さが増しているのはご愛敬。


最近、ホストに狂う妖怪が増えているらしい。
お陰で天狗達も結構潤っているようだ。
かつては自分の美貌を生かして貢いだり飯をおごってもらったりしたものの
バブルの時に貢いでくれる人が歳をとったため、開いた心の隙間をホストで
埋めようとしている妖怪がいるのだという。


ホスト通いは依存度を増していき、最終的には多額の借金をすることになる。
妖怪の銀行は働く人にはお金を貸すが、収入がない妖怪にはかなり厳しい。
そこで、借金取りの天狗の出番というわけだ。


しかし彼女たちがいくらい借金をしていたとしても
風俗に沈めたところであまり問題ないのだという。
妖怪たちには年齢というものを考慮する必要がない。
長い寿命は最終的に自分の商品価値が残り続けるのを意味する。
彼女たちはなんだかんだ言ってすぐにお金を返してしまう。
そしてお金を稼ぐとまたホストに通うわけだ。 まさに無限ループだ。


有江さんの話だと、最近その妖怪に会ったら化粧も薄くなって
思わずどこの化粧品を使っているのかと聞いたところ、
化粧品もワンコインショップ 下着もワンコインショップという有様だったらしい。
本当に笑えない。
妖怪の場合食がある程度不自由でもあまり困らないが、一度身を崩すと大変だそうだ。


帰って朝倉にその話をしたら、私はそこまで落ちぶれていないと言って笑っていた。
彼女だったら仕事に逃げる事も出来そうな気がする。


妖怪たちもオトコで寂しさを紛らわしたいと思うようだ。
色々ややこしい話である。