□月 ●日  No783 朝倉の引っ越し


顕界に住む妖怪。 だからといって特別何かというわけでもなく
人間と一緒に社会生活を満喫していることが多い。
社会保障制度こそないが、第一妖怪はそう病気になることもないし
いざとなったら妖怪対応の診療所があるからそこにお世話になればいい。


幻想郷の住人も金があれば不動産も買えるようだ。
何故こんな話をしたかというと。
なんと朝倉がマンションを買ったというからだ。びっくりするやら呆れるやら。
マンションだったら管理費を払えば面倒な維持管理をやらないで済むというのが
本人の弁である。
ボスに言わせればキャンピングカーは目立ちすぎるから引っ越しを勧めたとの事。
やることなすこと彼女らしくて思わず笑ってしまう。


ということで、朝倉の引っ越しが始まったわけだが。
なんと朝倉別にコンテナで収納スペースを借りていたようでその辺の荷物も
一緒に運ぶことになってしまった。
引っ越し屋に頼めば問題はないのだろうが、色々問題のあるものを運ばないといけないようで
仕方なく声が掛かったようだ。


最初にやったのはなんと家電の廃棄だった。
新しい建物にはすでに新しい電化製品が入っているので今までのものは廃棄するそうだ。
薄型テレビも捨てるというから欲しいと言ったら、あっさりくれると言ってくれた。
引っ越し屋が入るのを防ぐためのようだ。


結構大きな冷蔵庫も捨てるというのでもらおうと中を開けたら
緑色の物体がひしめいていた。 何か実験用の物でも入れていたようだ。
使えないので産業廃棄物会社に依頼する。
魂魄と一緒に参拝コンテナに冷蔵庫をぶち込む。 まだ使えるのに勿体ない。


元々大した荷物はなかったので午後からコンテナを攻略。
まさに彼女の黒歴史がつまったようなところでそこかしこに魔導書が入っている。
ノーレッジ女史が読んでいる魔導書よりは遙かに年季が入っている。
少なくても魔法使いが使うにも危険な代物だろう。
段ボールに詰めて運ぶ。


色々整理していたら、奥から沢山の八卦炉が出てきた。
霧雨のご息女のために作った試作品の数々だそうだ。
持って帰るかと聞かれたが、これ一個一個が山をひとつを吹っ飛ばす程の破壊力を持っていると
聞いて、丁重に断った。


新しい家は、とても綺麗で警備もしっかりしている。
女の一人暮らしにはもってこいだと朝倉は言うが、彼女に警備なんて必要あるのだろうかと
本気で思う。 どちらかというと警備すべきは侵入者の方だ。
理由はあまり聞いて欲しくない。


魔導師時代の衣服を発見した。
露出度の高い衣服でまさに魔法使いの基本を完全にクリアーしている。
誰が見ても防御力がないと思うのだが、これでも結構な性能があると聞いたことがある。
霧雨のご息女とか人形遣いのアリス、ノーレッジ女史あたりに譲ればいいと思ったが
タグを見てしばし凍り付く。


そこには大魔導師養成ギブスと書いてあった。
とりあえずバックに詰めて見なかったことにした。