□月 ●日  No785 かなり危険な姉貴


タツキ姉妹の姉、豊姫に秋の味覚を送ることになる。
白玉楼の主人と互角と言われる食いしん坊振りで名を馳せる彼女。
実は直接何かを届けるのは初めてだったりする。


会った瞬間こいつには勝てないと悟った。
色々な意味で天然過ぎる。 この天然振りは朝倉にも通じる。
もちろんこの性格は意味がある。 彼女の性格だからこそ
地上ないし月で暴走が起こっても両方を止めることができるのだ。
お互いの気力が無くなるかたちで。
まさに最強のゲートキーパーである。


とにかく行動原理が全く読めない。
思慮が深いとも思ったが、本能の赴くまま行動するタイプのようだ。
逆に本能の赴くまま行動している振りをして頭の回転が早いのは
白玉楼の主人だと思う。 雰囲気は似ているが好対照であることは間違いない。


海と山を繋ぐことができれば幻想郷のナトリウム問題は一挙に解決できそうな
ものなのだが、彼女にそんなつもりは毛頭ないようだ。
むやみに接続して生物が棲みだしたら穢れの連鎖が始まるのは目に見えているからとも
言えるだろう。


彼女とのやりとりは雲を掴むようで要領を得ない。
この辺はすでに諦めている。
要領を得ないことに苛々するのなら幻想郷で働くべきではないだろう。
要領を得ないことが基本だと思えば気分はいくらか楽だ。
あらためて依姫の存在が重要だと感じ入る。
彼女は豊姫の言っていることを翻訳してくれる存在と言えるだろう。


浅間によるとこのワタツキ姉妹の弱点は恋愛だという。
穢れに関係する知識が極端に少ないため、恋愛周りの知識や下ネタには
かなりの拒否反応を示すようだ。
浅間を見ればわかるが、お酒に酔った振りをしてオトコを美味しく戴く女は
枚挙に暇がない。 女にしてみれば酒はどちらかというと嗜む物の他に道具として作用する。
下ネタが通じないというのが浅間の弁だが、月から客人にセクハラまがいのことを
やって外交問題にならないのかと心配になってくる。


そういえば彼女もカミを下ろすことができる存在だが
彼女のカミ下ろしプロセスは正当なのだろうか。
かなり疑問に思う。
そこのところを依姫に尋ねたら、ブラックリストに入っているから対象外と言われた。
喜ぶべきか悲しむべきか反応に困る話である。


豊姫とコンタクトをとるときは依姫を窓口にしたほうがよさそうだ。
当分ガストロームが放せない日が続きそうである。