□月 ●日  No811 地霊殿プロジェクト 裏事情?


灼熱妖怪なる妖怪は核融合を使うことができると聞いてびっくりする。
そう言った技術はサイエンスフィクションの世界の産物だと思っていたからだ。
だが地霊殿の主人からSFはサイエンスファンタジーの略でもあると言われて
色々納得する。 そうでなければ河童が科学技術を使うわけがないからだ。


この灼熱妖怪を巡ってだが色々変なことが起っていたので
メモがてら日記に書き記しておく。
まず一つは博麗の巫女の動きが異常に速かったことだ。
だいたい巫女が異変を察知してから準備を完了するまで数日から数週間かかる
だが今回に至っては数時間という異例の短さで実行されている。
さらに通信装置のチャーターもはやかった。 まるで最初から準備されていたのでは
ないかと思って止まない。
だが、うちの会社のメンツが一番首をかしげたのは通信封鎖を含む幻想郷の完全封鎖だった。
異変解決までの半日間 顕界との通信が完全に途切れたのである。


おかげで自称現人神や永遠亭から苦情がきた。
通信封鎖は月にもおよび、説明に苦慮した。
岡崎の列車は強化された結界も突破できたが車体に大きなダメージを受け
修理費用がとてもかさんでしまった。
この日この瞬間、幻想郷は事実上完全隔離されたのである。


なぜここまで大事になってしまったのか?
私の予想だが顕界にとっても核融合オーバーテクノロジーである。
これら新しいエネルギー源を巡って色々と政治的な小競り合いがあったと思われるのだ。


高温高圧でないと実現しないと言われる核融合がカミの力を得たとはいえ
地獄ガラスによって発動されているとしたら彼女たちを狙う組織が多数現れても
別におかしくないだろう。
特に化石燃料による利権を得ている人々にとって核融合が実用化されれば
自分の立場が脅かされると思っている者がいる。
白色人種以外の人種が核融合技術を得てはならないと考えているレイシストもおり
頭が痛い問題となっている。


そこで彼らの茶々をどうにかして避けるために幻想郷の結界を強化したのではないかと
考えられるのだ。 そういう理由がなければ隔離するメリットがない。
実際。我が社としては核融合利用に反対だったようだ。
お陰で米帝は今回の件について静観の構えをしてくれた。
案外隙間妖怪が一番来て欲しくないのは我々だったのかも知れない。


結局のところ幻想郷のエネルギー革命はいささか中途半端なかたちで終わってしまった。
それがよかったかどうかは微妙だが、少なくても暴走気味の結果が出たと言われていたので
取りあえず良かったと思う。


冴月がぼそっと「まあトリ頭だから」と言っていたのが妙に気になった。






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