□月 ●日  No933 エクソダス


一般的に幻想郷に行った人間は帰ってくることは殆どないことが知られているが
ごく希に幻想郷から顕界に行った類の人間や妖怪もいる。
朝倉がそうだし、ボスもそうだ。 こういう妖怪は顕界に溶け込むように生活する分には
そこまで煩くはない。 隙間妖怪が百貨店でショッピングに興じていることも割と知られている。


しかし今日の妖怪は別だ。 神通力を利用して政治家になって一定の地位まで上り詰めた人物
政治家になるのはいいが、汚職で検察に追いかけられている時にうちに泣きついてきた。
送らないと圧力を掛けると脅かされたので仕方なしにボスを呼ぶ。


顕界で犯罪行為をした妖怪または人間が幻想郷に高飛びを試みるケースは結構ある。
だいたいは山狩りが行われて、発見し次第よくて強制送還、見つけた妖怪によっては
そのあま補食されてしまう。
撃ちの会社でも顕界の逮捕権はないので、最後は通報というかたちになる。


幻想郷では妖怪を対象に山狩りのバイトというものがあって、幻想郷に逃走した犯罪者等を
探し出して捕獲することになっている。
生死問わずという条件も少なからずあって、そうなった場合は見つかったら最後
たちまち妖怪の餌となるのである。
中には人間を合法的に食べるためにこのバイトに参加している妖怪もいるそうだ。
もっともルーミアみたいな妖怪でも出来る仕事というわけではないようだ。
外の世界についてある程度の造詣も必要である。
そうでないと本当に分からない妖怪が居るのだ


さて今回の政治家だが、ボスに飛び道具が通じるわけでもなく
結果的に相手を追い出した形で事は運びそうだ。
テレビをふと覗いてみたらその人物が行方不明扱いになっていて
苦笑するしかなかった。
逃げたくなるのはわかるが、逃げても状況は解決しないことくらいは理解されたい。