□月 ●日  No1262 SYSYEM SHEN


今日はエレンのマジックショップへお邪魔することにした。
うちの会社で利用している橙が風邪の症状に近いシステムの不調を訴えており
原因究明する必要に迫られたからだ。


エレンのマジックショップには同型の式神であるソクラテスがいる。
ソクラテスのオーナーであるエレンなら今回の問題の原因も分かるだろうというのが
技術陣の考えのようだ。 まだまだ橙の利用には技術的問題が多いと言うところか。


エレンに問題の橙を制御するシステムカードを渡して解析して貰う。
かつての橙はオーナーに襲いかかるときがあるほど不安定なものだったが
最近はプログラムレベルの革新と中間管理職狐が書いた橙のコード解析が進み
人間にも扱いやすい式神が生まれてきているという。
しかし、システムの解析とモジュール化が進行するに従い、必要以上のシステム拡張を
行った結果起こるトラブルも増えているようである。


コーヒーを飲みながらエレンの作業を見守っていると、みるみる彼女の顔が不機嫌になっている。
一体何事かと尋ねると、どうもこのプログラムにはウイルスが混じっているのだという。
コンピューターウイルスは知っているがまさか橙のような式神にもウイルスが混じるのかと
驚いてしまう。 どうも社内のローカルエリアネットワークを介して広まったらしい。


問題の原因を技術部に報告。するとどうもうちの会社が原因ではないらしいことがわかった。
基本的にコードをコピーして貼り付けているだけなのだという。
似たような作り方をするシステムエンジニアもいるからと言われたが
実際こんなものなのかとあきれ果てる。


原因を追いかけていったら、中間管理職狐が提供した橙のコードに問題があるという
結論に達した。エレン女史が見つけたウイルスコードと言われるもので検索をかけると
オリジナルのカードから検出されたのである。
一体どういう事なのかとボスのパーティに出席していた中間管理職狐に尋ねた。


コピー元の橙が風邪にかかっていたらしいことがわかった。
あんたもコピーと貼り付けをしていたのか。
問題のコードは中間管理職狐とエレン女史の尽力で排除されたが誠に迷惑な話である。