□月 ●日  No1261 安くて美味しい粉末ジュース


例の神社にいるおねえさんから粉末ジュースが欲しいという依頼を受ける。
確かに粉末ジュースというのはほぼ幻想入りしたものだけに入手は難しくないと思われるのだが
何故か指定された品物が幻想郷にも顕界にもない。


このような中途半端に幻想入りした代物を探すのは骨が折れる。
仕方がないのでおねえさんに記憶を辿って貰って商品名を調べたところ
色々危ない物質が入った粉末ジュースが出てきて閉口する。
どうもこれ、違う意味で幻想入りした甘味料が入ったジュースだったらしい。
発がん性物質だったり、畸形を生み出したりと色々問題が多いので販売中止になったようだ。


というわけで入手できませんと言ったら、カミだから癌になる心配はないと言われた。
理屈はわかるが自称現人神が間違って飲んだらどうするんだと思う。
この自称現人神あってこのカミ様ありだろう。
自称現人神にお前からなんか言ってくれと言ったら、なら飲めるやつにしようと言うではないか。
いや、そういう問題じゃないと思うのだが、おねえさんが良いと言うので仕入れてみることにした。


結局、米帝に売ってる粉末ジュースを空輸して貰って幻想郷に運ぶという面倒なことをする羽目に。
送料が商品代の10倍するという何ともコメントしがたい結果になった。
結局、運んだ粉末ジュースを飲んで貰ったら3人そろってまずいと言うではないか。
「やっぱり記憶の中で美化されていたか」という三人組に目頭が熱くなった。


会社で粉末ジュースの話をしたら、冴月が幻想入りしていないよと言ってきた。
どうやら軍用で粉末ジュースがあるらしい。 糖分を急速補給できるということで
人間にも妖怪にも有効だと言うらしい。
まずいと言われたと泣き言を言ったら、軍用だから美味しいわけがないと言われた。
何とも切ない気持ちになった。