□月 ●日  No1260 ボスの手記


この日数十人の面接を行うも期待できる人材はいない。
最近の不景気は妖怪の雇用も奪っており、能力のある妖怪を雇い入れるチャンスではあるのだが
実際のところそういう妖怪は人間の一流企業に入社して人間と一緒に仕事をしていることが多いようだ。
幻想郷に一番近いはずの我が社が人材不足なのだから本当にお笑い草だと思う。


私のポリシーとして人間と妖怪を同列に扱い、同列に仕事させるというポリシーがある。
もちろん全く同じ仕事をさせるわけではなく、たとえば雑談やミーティングなどちょっとした話は
妖怪も人間も分け隔てなく行うことが大切である。


これは私の経験則だが人間も妖怪も会社の歯車としての貢献度は大きな差がない。
重要なことはむしろ仕事に対する情熱である。
これは所謂、体育会系のような根性論とは違う。根性論は大体の場合我々管理職の思考停止に
他ならず、横のコミュティの輪を破壊するような根性論はむしろ組織にとって害悪であると理解すべきだ。


問題は自分が妖怪という自覚のない者である。
こういう人材は特殊能力はそのまま持っており変な意味で全能感を持ったまま大人になっている
ケースが多い。 
こういう者は一度挫折を与えてそこから這い上がらせるしかないのだが、試しに紅魔館に
その人材を派遣したところ、案の定メイドに喧嘩を売って返り討ちになったあげく会社を辞めていった。
会社で何をやっているのかばらすと脅迫まがいなことをするので、霊能局の人に処置して貰うことにした。
今は塀の中でくさい飯でも食べているのだろう、


私の部署にいる妖怪も人間も一応は良好な関係を築いている。
これは大きな成果であると確信している。
かつて、人間と妖怪がわかり合うことを理想として活動した自称聖人がいたが
自分がイニシアチブをとるより前に十分なコミュニケーションがこそが大切であると
確信する次第である。