□月 ●日  No1259 なんちゃら戦争


道のど真ん中で私闘をしているバカを発見する。
弾幕ごっこに巻き込まれるのは面倒なので他人の振りをして身を隠しながら
その場を離れ、喉が渇いたので自動販売機でお茶を買って、
ほっと一息ついたところで致命的なことに気づいてきびすを返す。



ここ顕界じゃないか。



戻って様子を伺ってみると確かに顕界で弾幕ごっこをやっている。
携帯電話で朝倉に電話をしたら、「最近多いのよね」という答えが返ってきて絶句する。
近所の人が警察を呼んだせいか辺りが騒がしくなったので会社に戻ると
朝倉が待ち構えていろ色々と聞いてきた。


最近顕界では、妖怪であることを隠しながら戸籍をもった人が子供を産んで
その子供が妖怪の能力を受け継いだという現象が後を絶たないらしい。
ここで問題となるのが、親はあくまで子を人間として育てようとするあまり
子供に芽生えた能力を徹底して否定する教育を施すケースが多いことにある。


当然親と子の正常な関係が生まれるわけでもなく、何かしらのコンプレックスを抱いたまま
子が成長。 そして能力に目覚めたのはいいが行使の仕方が分からず、同じような能力を持つ人が
集まってコミュニティを作った結果、コミュニティ同士の私闘をするという展開になると
そういう流れであるらしい。


根っこはガキなので自分に色々な設定を付けるバカが後を絶たない。
○○の末裔とか、ヴァンパイアの力に目覚めた男とか良くも悪くも青臭い。
余談だが米帝でも同じような事件が事態が今から20年前に起こったそうだが
こちらはこちらで自警団化して、コスプレ衣装で悪人狩りをしていたらしい。
大半のガキはそのまま戦争に行って戦果を上げて結構良い暮らしをしているのだという。


私が出くわした連中はとある秘宝を巡って闘っているという設定のやつらである。
あくまで設定であって実際に争奪戦をしているわけではないらしい。
なぜならその秘宝は三年前に私が香霖堂に持って行った代物だからである。


朝倉はたまに使える子がいるから、同じ事件に巻き込まれたら教えてねという。
色々な意味で世も末だと思った出来事だった。