□月 ●日  No1291 ご愁傷様


うちの会社に今年も新入社員がやってきて初顔合わせをする。
うちの部署に人が来るかと期待したが、なんと今年は来ないらしい。
もちろん試用期間中に変わることもあるから、油断は禁物である。


もっともうちの部署がお世辞にも人気部署とは言い難いことは社内の常識である。
実質サービス業だから拘束時間は長いし、給料はいいが間違いなく飲みにケーションは
不可能と言って良い。経理部とかは休みもはっきりしていて人気があったりする。


女性陣たちは毎度の事ながらトトカルチョに興じている。
やれこの子は可愛いとか、どれだけ持つかとか大体どこも同じような話となる。
うちの部署に行くともの凄く持つかあっという間に部署異動願いが来るか
辞めるかの両極端なのはご愛敬である。


実際のところ言えば妖怪と結婚して退職した社員がいないというのが
全てを物語っているような気がしてならない。
妖怪達と一緒にいるためには幻想郷に身を置くしかないので
会社にいるか、それとも妖怪と関わる公務員になるかのどちらかしか
ないわけだが、妖怪と価値観を共有できる段階で会社を辞める理由がないと
いえばその通りである。


試用期間中に幻想郷との相性も計られる新入社員達。
幻想郷に行くことがあったら取り敢えず「ご愁傷様」と言ってやりたい。
私も子の部署に赴任したとき、同じように「ご愁傷様」と言われたものだ。


他の社員から「地獄へようこそ」と言われたものだが、
まさか地獄が本当に地獄だとは予想できなかった。
確かに地獄で間違いないのだが、それは地獄という地名だろう。
一応重要な仕事の筈の八雲商事であるが内部はこんなものである。