▼月 ◇日  No238 よそ者の商売


結界の外からやってきた人間が、町に住み着いて商売を始めたらしい。
その人物は商才があるのか、はたまた幻想郷という市場があまりにぬるま湯に浸かっていたせいなのか
商売が軌道に乗り始めた。 株仲間にも足を運んで一生懸命幻想郷に溶け込もうとする姿は
我々としても頭が下がる思いだ。
ところがそれをよく思わない者もいる。 幻想郷の住民は極端に土着志向が強いのだ。


そしてとうとうお店に嫌がらせをする馬鹿が現れ始めた。
警備をするべきだとボスに進言したが、ボスは「警備は不要」と言うばかりである。
ボスに言わせれば企業は単に利益を得るだけではなく、その利益を社会に還元しないといけないという。
それは雇用であったり、そのほかの福祉事業だったりとさまざまだ。
そして利益還元を忘れた企業は、社会のコンセンサスを失い淘汰されると言うのである。


「嫌がらせを受けるということは、その店がどこかで我を通していると思うべきだ」というのは朝倉の弁である。
もちろんそれが、市場の活性化に繋がる場合もあるが、逆に市場が荒らされるケースも存在する。
だからこそ、我々は静観するのだという。
もし、うちの会社に商品を納入してくれと依頼されたらどうするのかと問うと、
ボスは「販売実績にあわせて金額を決める」と答えた。 当然、ゼロからの販売実績だろうから
最初のうちは不利な条件を突きつけられるということなのだろう。
このお店がこれからどうなるのか、お手並み拝見である。