▼月 ○日  No240 妖怪のクレームについて


妖怪のクレームは命に関わる事態である。最悪それで職員が命を落とす場合すらある。
特に低知能妖怪でその傾向が強い。 そのため、うちの職員でも戦闘能力の高い人たちは
一般的に低知能妖怪を担当することが多く、逆に私のような戦闘能力ゼロの人間が
高い知能を持つ大物と接するしかないという事態になっている。


しかしながら人間にしても妖怪にしても、クレームの対処方法は全く同じだと思う。
まず重要なことはスピードであり、自己弁護をするようなことはタブーである。
対応がよいとお客様の信頼をさらに強固にすることができる。


私が納品から帰る途中のこと、目の前で鉄の塊と氷妖精が交戦していた。
戦っていたのは里香女史が操る「イビルアイγ」と呼ばれる戦車である。 
近距離通信で「逃げて」と言われ全力で逃走を試みる。
クレームのせいでとうとう戦闘状態になったようだ。


冷気のせいか衛星とリンクする通信機器がダウンした。
なんとかして本社と連絡をとらなくてはいけない。 
どうにかして逃げることには成功したが、里香女史の安否が
気になり通信を試みても何も応答がない。
まさかあの年増OLの身に何かがと思って恐る恐る戻ってみると、
うって変わって二人は和気あいあいとしていた。


どうやら納品したカードの試し撃ちだったらしい。 迷惑な話だ。
「私がそんなヘマをするものですか」と里香女史
「私は人間相手に本気で戦うほどバカじゃないもん」と氷妖精
里香女史は氷妖精をうまく操縦しいているようである。 さすがはベテランだ。
このように妖怪相手の商売は毎度毎度命のやり取りである。
なんか疲れた。