○月 ○日  No321 痛船


最近冥界への用事が増えており、三途の川も見知った風景になりつつある。
そんな三途の川だが、今その川で異変が起きている。


死神たちの船にはある程度までならペインティングなどが赦されている。
たとえば、死者に対しての説明書きの写しとか、暇を潰すための五目並べの跡
中には詩歌を書くもの様々で見る人を楽しませてくれる。
そこに、腐女子ワールド大爆発の美男子の絵が書き込まれた船が大量発生した。
私はこの船を「痛船」と命名した。


船の底に「やらないか」と書いてある船を見た幽霊が衝撃を受けて震えているわ
魂魄の絵が書かれた船は極端に美化されていて、何か違う世界になっているわ。
百合春画が前面ペインティングされたり、電飾まで施すものが現れたり
ハチャメチャである。

 
うちのお得意さんの小町嬢に会う。彼女は殆ど改造を加えていなくてほっとする。
底に閻魔様の落書きが書いてあって、額に「肉」と書いてあったが見なかったことにした。
後日、閻魔様が手刀で船を片っ端から破壊してこのブームは沈静化の方向に向かっている。