○月 ×日  No322 宣伝企画

岡崎と北白河 そして私で視察のため国際福祉機器展にお邪魔する。
思った以上に大規模で度肝を抜かれた。
今回この企画が持ち上がったのは、阿礼乙女対策のためである。
阿礼乙女は10代後半あたりを過ぎた頃から、筋力の低下が見られ始め
数年後には完全に寝たきりの生活になってしまうからである。
この疾患はすでに遺伝子レベルでの原因が解明されており、問題解決の
道筋は見えつつあるのだが、遺伝子治療によって阿礼乙女の資格が消滅する
可能性もあり難しい問題となっている。 
筋力低下を補うための強化スーツなどを試し、パンフレットをもらったら
とんでもない重さになった。
横にいたおばさんがパンフレットを箱につめて、宅急便に送っている
ところを見かけた。 成程である。
人気のある介護用品のカタログを手に入れるためにまるでバーゲンセールの
ような戦いを演じる。


カンファレンスに出席して感じたのは、メンタルケアが非常に大切だということだ。
阿礼乙女はすでに自分の寿命がどれくらいかを知っている。
それゆえに精神的なストレスも並大抵ではなく、実際に妖精たちを虐待している場面も数多く
目撃されている。 そんな彼女のケアをどうすればいいのか大いに考えさせられた。
とりあえず昇降便座などをうちの会社に納品してくるように頼んで帰路につく。
帰りはくたくたで何一つ口も利けなかった。