□月 ●日  No990 ろくおん!


プリズムリバー姉妹たちの新曲録音を手伝うことに。
綿月姉貴から録音機を借りたというのに香霖が変な録音機材を持ち込んだためこいつを使うことに。
月の録音機は小型で何もしなくても音楽を綺麗に拾ってくれるというのに
香霖の持ってきた一昔前のスタジオまがいの機材がいいらしい。
同席していた阿礼乙女が風情がないからだと言うが、便利な方がいいに決まっていると思う。


しかし今は田植えシーズン 外からはお囃子が聞こえるし、動物の声も色々煩い。
空気を読めと言いたくてもどだい無理な話だ。
そこで吸音できる妖精を捕獲しようと言う話になった。
阿礼乙女によると本来は悪戯のための能力だそうだが、妖精に協力を要請すれば無理ではないらしい。


はっきり言おう 阿礼乙女の妖精に対する情熱は本物である。
過去に恨みがあるとは聞いていたものの既にそのレベルはある種何かを超えたものとなっている。
この日も阿礼乙女は枝と枝の間にワイヤーを張っていた。 
どう考えても妖精以外に妖怪も引っかかりそうな罠だ。
頭が回る妖怪なら切断するというがどう見ても生け捕りしてやろうと考えていない気がする。


本人曰く ターゲットの活動パターンは記憶済みとのこと。
程なくして目的の妖精が捕獲された。 紐がきちんと致命傷にならないように絡まっている。
ある意味芸術である。 
一方妖精はガタガタ震えている。 どちらかというと私より
阿礼乙女へ視線が釘づけになっているのはすぐに分かった。


足を縛って何をさせるのかと言えば防音室の再現をやらせようとしてるようだ。
事情を聞けば協力するのにと妖精。
ブチ壊しにしようとするでしょと言う阿礼乙女。
悪いことはしていないのにご免なさいと平謝りする妖精。
そういうえばこの妖精三匹でワンセットの筈。 どうやって事態を収拾するのだろうか。


全ては阿礼乙女に読まれていた。
結局なにもできないまま三匹とも阿礼乙女に捕獲された。
それぞれがプリズムリバー姉妹のエフェクトの役割をさせられることに。
酷すぎる。


開放してやる間際、私に阿礼乙女の友人かどうか聞かれた。
悪戯したら言いふらすと言ったら顔を真っ青にして逃げられた。
彼女たちから注文が貰えない気もしたが、どうせまともな客ではないので無視することにする。