□月 ●日  No2412 阿礼乙女の家


阿礼乙女不在の阿礼乙女の邸宅。ここで起こっている作業について主任の明羅女史に聞きました。
彼女が書いた幻想郷縁起は様々な方法でアーカイブされます。
これまでは蔵にしまったりもしたのですが、最近では可能な限りデータ化して保存すると言う
流れにもなっています。幻想郷にとって重要なことは予算も技術も惜しまないと言うのが
八雲商事の基本的な思想と言ってもいいと思います。


阿礼乙女の邸宅には二つのセクションがあります。一つは縁起のアーカイブ
もう一つは縁起の所有者たる彼女に入ってくる資産の管理です。
明羅女史は基本後者の担当であります。阿礼乙女が復活しても自分の邸宅があるように
手続等を行うわけです。


幻想郷縁起は書き終わった地点で一気に写本されます。これをねずみ算式に増やしていき
写本の写本みたいな感じがいくつも出来ます。これは基本バックアップのためです。
現在ではスキャン技術が発達したため、写本の内容は概ね八雲商事の端末にほぼリアルタイムで
送られると言う仕組みです。


ここまで徹底的に写本するのは、万が一に備えてのことです。阿礼乙女の邸宅はそれなりの
武装並びに警備をしているわけですが万全ではありません。
幻想郷縁起が破壊される可能性は十二分にあります。そこで、本のアーカイブが必要になるのです。


そんな幻想郷縁起ですけど、こちらから見れば突っ込みどころ満載でありますが、実のところ
オリジナルと顕界で出回る書籍にはかなりの差異はあります。これは現代語訳によるニュアンスの変化だったり
そもそも一部分を削除したものをごまかしたり、果ては阿礼乙女の事実誤認だったりするので
縁起の写本をもとにして幻想郷を制覇しようとすると、今私がいる場所に居ることになるわけです。


まあ、セキュリティをちょっと触った私が悪いんですけどね。