□月 ●日  No2413 新規産業つぶし


幻想郷で一番儲かる職種ってあるのかと尋ねられることがありますが、この辺はなかなか難しいところでありまして
幻想郷成立初期ですと土倉というところが有名だったらしいと黄昏酒場で聞いたことがあります。
所謂酒屋と金貸しを兼業しているところでありまして、その理由というのはお酒は妖怪と人間両方に
影響を与えることができるということで一時期、ちょっとアレな方面の人にはやろうとした時がありました。


江戸の世の中ではその辺が株仲間などの組合組織によって一種の紳士協定が結ばれていたのですが
職業選択の自由とか言っている顕界の人がここに絡んでくると色々面倒なことになります。
このような事態になった場合どうするのかと言いますと、こちらで輸入するお酒の量をほんの数パーセント
増やします。大した量じゃないように見えますが、実は八雲商事で流通させるお酒というのは
妖怪たちの宴会などで主に動員されるものでありまして、一般市場にはあまり流通しないのです。
これは、幻想郷の内部産業を保護するための措置であります。


このバランスを一時的に破壊し、特定市場を破壊するのが目的でありまして、
株仲間たちが保護されると言うなんともえげつない新規参入を阻むルールと言えます。
もちろん、新規参入者であっても郷に従えの論理を働かせることが出来るような頭の良い人は
そんなトラブルを起こすことはありません。
しいて言うなら紅魔館が地下を利用してワインを製造していますが、そもそも原料があまり入手できないと
あって、流通量も制限されているというのが実情のようです。
従って大酒のみは簡単に破産しますから酒虫みたいなものが流行るという塩梅です。


もちろんこのやり方は人間相手であり、妖怪相手の場合は退治コースにもなりかねないわけでありまして
破壊的イノベーションをどう扱うのかというのは割と我々も慎重であると言うことが出来ます。
絶対的な答えは当然見出すことはできません。