□月 ●日  No2414 超能力者は売っちゃいかん


黄昏酒場の有江さんの店で談笑したときの話。
顕界に生きている妖怪たちが一番金を手に入れやすい手段というものがあるらしい。
それは偽物の超能力者のサポートに回ることだと言う。


顕界でわりと表に出る超能力者の大半が詐欺師であるという。実際に超能力を持っているわけではないので
現実とのギャップはよく理解している。彼らは上手い具合に関係者を丸め込んであたかも超能力を持っているように
見せているだけだ。たまに本当に超能力者と思い込む者もいるが、自己催眠の末の人格障害の場合が多いのだと言う。
現実に超能力がある場合はどうなのか。結論から言えばそんな奴はそうそういないし、若死にすることが多い。


あの手の力は訓練の仕方を誤れば確実に死ぬし、超能力に目覚めたタイミングが幼少の場合なら
親との断絶を恐れて当人が能力を封印するか、脳内出血で死ぬとかそんな碌でもないパターンが多い。
大人まで超能力を維持できたとしたらそれは単に本当は能力を持っていない存在であると考えた方がいい。
自称現人神のように血筋的にそういう能力があり、幼少期からサラブレッド扱いで訓練を受けているのなら
話は別だ。それだって空を飛ぶのに最初はスカイダイビングから入って行って、つい最近まで
パラシュートをもって空を飛んでいた。パラシュートは彼女にとっての補助輪みたいなものだった。


さて、実際の超能力者はその多くが秘匿されることになる。彼らは日常である超能力が
碌な結果を生まないことを知っている。だから基本的に表に出ようとしない。
もし仮に表に出ていたら、詐欺師というより本業が別にあるケースがある。
某霊能力者は自分が命を狙われていることを知っていて敢えてテレビに顔を出していた。
自分を認知してもらえる状態を作っていれば、命を狙われる頻度が減ると踏んだからだ。
有江さんの話によると病死ではなく戦死だという。


そんなわけなので、幻想郷に行かない能力もちは詐欺師をコントロールしてその上前を撥ねる
商売の方法が一番というわけである。なんともはやと思われるかもしれないがこれが真実なのだ。