■月 ×日  No326 アイデア商品の行き先は?


幻想郷に送る商品で非常に困るのがアイデア商品である。
技術力を要しないが、人々の暮らしをよりよくすることができる物である。
たとえば、ドクター中松氏の灯油ポンプあたりがそれにあたる。
こうした品々が幻想郷に入るときには、検疫部の里香女史中心の
スタッフ達が議論を重ねている。
また、妖怪たちの衣服にマジックテープがあったりすると都度議論になる。
魂魄の孫娘の衣服がマイナーチェンジを施されたとき、テープを剥がして再加工するかを
決めたときは深夜まで議論が続いたそうだ。


幻想郷の掃除用具は不便なので、ワイパー式の掃除道具を作らないかと
香霖に持ちかけたら 里香女史にばれて烈火のごとく怒られた。 
博麗の巫女がせっせと雑巾がけをしているのを見て
喜んでもらうつもりだったのだがそれがいけないらしい。
イデアに過去も未来もあるのかと食い下がったら、それによる影響を先読みできればいいと
返されてしまった。どうやら検疫部には苦い過去があるらしい。


人間にとって便利なものが妖怪にとっては有害なものというのはよくある話らしい。
たまに、事故で神隠しにあったものをあったものを香霖が回収した場合は、
一定価格で買い取ることになっているほどである。
私が香霖の代わりに棚卸しをしているのも、危険なものの回収のためだ。
私が香霖堂によく出入りするのはこうした事情があるからである。