■月 ○日  No430 幻想郷に誘った奴がいる


例の神社の電気工事が完了したというので完了確認へ行く。
神社はオール電化住宅へと変貌していた。最新のコンロと給湯器に自称現人神も
ただ驚くばかり。 私の家よりもずっといいものを入れている事実に悲しくなるばかり。


河童に工事内容の説明を受ける。
偶然なのか、移転前の物資保管倉庫近くに転移したため
工事は思った以上に楽だったらしい。 費用もかなり抑えられた。
そしてなにより、道を造るための整地工事も必要なかった。
外構工事はとかくお金がかかるのでとても助かる話だ。
だが、あまりに話ができすぎているように思う。


幻想郷へ建物ごと移動するのは決して容易なことではない。
平地を確保し、飲み水を確保できる場所はそう多くはない。
いくらカミ様だとしても先に幻想郷へ行って整地作業をするには
骨が折れるはずだ。事実上の土木工事同然だからである。
つまり、ここに来ることは誰かが先導したと考えるのが自然なのだ
この件に関して河童も天狗も事情が分からなかったとあっては
それが可能な人物は私の知る限り二人しかいない。


すっかり体がよくなった自称現人神からヒントらしい話があった。
魅魔様によろしく言って欲しいと言われたのである。
聞けばカードの使い方などを教えてもらっていたらしい。
鴉天狗より早く移転の事実を掴んでいるとあっては恐らく魅魔という
妖怪がこの件に一枚かんでいるのだろう。
もしかすると私の知らないうちの会社の社員かも知れない。


神社のお姉さんにエアコンやら色々と取り付けを頼まれた。 
見るとリアカーにたくさんの電化製品が山積みになっている。 運べというのか。
だって自分で運ぶには重すぎると主張するおねえさん。 
「リアカーに積んだのはあなたでしょうが」と言いたかったが怖くて無理だった。