□月 □日  No612 BGMはインペリアルマーチ


ヤマザクラソメイヨシノが咲き誇り、辺りが賑やかになるこの頃。
幻想郷の住民たちの酒消費量がとんでもないことになる時期でもある。
冬眠状態の妖怪たちもこの日を狙って一斉に起き上がる。
そしてあの偉大な隙間妖怪も起き上がる。 関係者にとっては鬱極まりない日でもある。


さて、幻想郷には冬眠型妖怪が何種かいるのだが、中には冬眠前に十分な体力をつけないまま
眠りに入ってしまって酷く衰弱している妖怪がいる。
いわゆるおなかが減って動けない状態だ。
そこで冬眠前に衛星を用いてマーカーを参考に、寝坊助もとい衰弱した妖怪たちを捜索する
作業を行うのが今日のお仕事だ。
衰弱した妖怪を見つけたら、救護班に連絡してすぐさま処置をしてもらう。


衰弱が酷くなると、いよいよ食べ物も食べられなくなる。
栄養剤の点滴もさることながら、魔力を貯めたカードを直接妖怪たちにあてがって
気力を回復することも必要だ。
一番効くのが御神酒を飲ませてしまう方法だ。 妖怪どもの滋養強壮に役に立つ。
博麗神社にお酒をセッティングして、鬼娘の奇襲をかいくぐりつつ一晩おいておけば
とりあえず箔がつく。


今年も何匹かの妖怪が衰弱していた。
曰く、秋姉妹が頑張りすぎて沢山の作物ができたので、調子に乗って食べていたらおなかを壊した。
曰く、冬眠前にお酒を飲み過ぎて寝過ごした。
曰く、食べようとしたものを妖精たちに奪われた。
だいたいのパターンはこんな感じだ。
どの妖精が盗みを働いたのかは見当がつくので、阿礼乙女に依頼しておこうと思う。


夜になると回復した妖怪たちが飲み会に合流して、どんちゃんさわぎはさらに加速する。
花見は数日がかりで行われる。 沢山のごちそうが並べられ、おなかを減らした妖怪たちの
胃袋を満足させることができる。
夜店の中でブレザー兎が胃薬を売っているのを発見。そこそこお客が集まっているので
何よりだと思う。


だがもっとも繁盛していたのは詐欺師兎が運営する有料河屋だった。
有り体に言えば便所である。 小銭袋を覗いたら結構入っていて驚いた。
入り口でしめ縄が引っかかってもがいている例の神社のお姉さんを後ろから押したら
違うところを押したみたいで、セクハラと言われた。


そろそろ桜が散り始めたので、冥界にいる西行寺のお嬢様を呼ばないといけない。
なかなか起きてこない隙間妖怪と会わせるためである。
彼女が来るとゴミが出ないのでとても助かる。 それが目的ではない
たぶんそれはない。