□月 □日  No613 甘茶と因果応報


阿礼乙女のところへ甘茶を納入。そろそろ花祭りが近いので先行して納めた。
花祭りというのはお釈迦様の誕生日に甘茶を飲んで無病息災を願うものである。
幻想郷では現代でもカミが息づいているが、仏教とカミが同時に祀られた期間が長かったためか
仏教の祭りがそのまま幻想郷の祭りとして残っていたりする。
博麗大結界が今の姿になったとき、大結界補強のため神仏分離の試みがなされたが
結局うまくいかなかった。 どうでもよくなってしまったというのが実際の理由だったようだ。
甘味大好きの幻想郷の妖怪たちにとっては、甘茶が飲めればそれで十分なのである


甘茶の臭いに誘われた妖精たちがふわふわと寄ってくる。
すると阿礼乙女の邸宅に仕掛けられたブービートラップがうなりをあげる。
たちまち何匹かの妖精が捕まる。 網を覗いてみるとそこにはおぞましき三馬鹿がいるではないか。


どこかに投棄する前に話を聞いたら、私に用事があるらしい。
お酒を譲ってくれと言うのである。代金はあるらしい。
それなら素直に酒屋さんで買えばいいのだろうと言ったら、悪戯がすぎて出入り禁止になったらしい。
自業自得である。


お金は明らかにお賽銭であることが見て取れる。小銭ばかりだからだ。
とりあえず妖精の中でも割と言葉が通じる黒のストレート妖精と交渉することにした。
彼女は頭がいいから、このお金を融通したら何が起こるかも理解できるはずだ。
例の神社のおねえさんにはスリーパーホールドを喰らい、ケロちゃん帽のカミ様からは
丸呑みの刑に処されると言ったら必死に謝りだした。


例の神社のおねえさんを呼んだら、いともあっさりと三匹の妖精は赦されてしまった。
豪快すぎる方だと思う。 妖精がお金を返すと、おねえさんはとっくりに入ったお酒を差し出した。
ほしいものはこれだろうというのである。 さすがはカミである。
代わりに信仰を捧げてねと言わなければさらによい。


甘茶を薬屋にも届けてほしいと阿礼乙女に言われたので永遠亭に行ったら、
なぜか例の三馬鹿を見つけた。
何かの治療を受けたらしく、お代をよこせと言われていた。
お金を盗んだ報いが帰ってきたといったところか。


ニート姫に甘茶の作り方を説明して今日のところはおしまいである。
4月くらい素直に甘茶を飲んでいればいいのにと思う。