□月 ●日  No791 姫様の隠れスキル


そろそろ収穫の時期も終わりを迎えようとしているこの頃。
永遠亭に冬用品を届けていると、ニート姫がなにやら書き物をしている様子。
何度も言うようだが、彼女の教養を馬鹿にしてはいけない。


そもそも彼女がかつて様々な貴族から求愛されたのも
彼女の頭の良さによるモノだ。話をすればわかる。 
彼女を馬鹿にするのは表面しかみていない愚か者だ。
むしろ彼女が書く文面を見れば、物書きとして十分やっていけるだけの技術力はあるとわかるだろう。
薬屋は彼女が飽きっぽいと言うのだが、彼女の趣味は極端にスパンが長い。
ん十年単位の趣味を飽きっぽいと言われたら堪らない。


そんな調子だからどの趣味もディープと言えるくらいの腕前で
当然にそれに見合った道具類を納品しないとならず
とても高いものを入れる羽目になるし、鑑識眼も必要となってくる。


剪定鋏については魂魄が詳しかったので助かったが
他については相当苦戦することになった。 何しろ肥料まで詳しく指定してくるのだ。
薬屋はそんな彼女の趣味を暇つぶし程度にしか見ていない。
薬屋にとっては地上の文化は大したことのないモノと思っているのだろう。


少なくてもニート姫様と会話するのはかなり勉強になる。
たとえばネットを介して会話したとしても、教養がすごいから
誰からも頼られる。
メトセラ娘と殺し合いになっているのも舌戦ではメトセラ娘が不利だからと
言われているほどだ。


彼女の話はかなり面白い。少なくても某塾の先生より面白いのは間違いない。
物事を順序だてて、なぜこうなったのかをきちんと説明できるのはさすがだ。
口にしたら頭突きでも喰らいそうな勢いなのでこれ以上やめておく。


薬屋に彼女の教養を本にすれば儲かると話をしたら
本気で悩んでいた。 確かに薬屋は金欠だしちょっとした小遣い稼ぎになるのかもしれない。
少なくても天狗の新聞よりは売れると見ている。