□月 ●日  No830 運命を操る程度の能力


朝倉からヴァンパイアの主人への接し方についてアドバイスをもらう
そこで面白い指摘があったので書き記すことにした。
それは彼女の運命を操る能力である。 
彼女の能力を駆使すれば綿月姉妹にも圧倒的勝利を収めることができるはずなのだが
何故、それをやらなかったは不思議で仕方なかった。


それは彼女が運命を操る能力を持ちながら、運命を受け入れることもできるからだと
言うのである。 
彼女が基本的に我が儘であるのも運命をいじることができるからだろう。
だが同時に彼女がとても非合理的なことをする癖もある。
それが彼女なりのストレス解消法であるとういうのが朝倉の見解だ。


根拠を述べるとこうだ。
幻想郷の人々は基本的に生きるために必死である。
一日のうちに15時間くらいは生きるために確実にしないといけない仕事に
従事しないといけない。
しかし、心はあくせくしているわけでもなく不思議とゆったりしている。
一方で生死や運命に対してとてもドライにも見える。
なにかあったとしてもそれはカミのおほしめしであると考えている。


顕界にいるとどうしてもありとあらゆる偶然すら許せないものに映るようになる。
一方で幻想郷にいると、ありとあらゆる事はカミ様の気まぐれだったりすることが
目に見えてわかるのに何故か許せる気になってしまう。
たとえば、今日がとても寒くて、エンジンが掛らないとしよう。
顕界だったら機械に八つ当たりする場面だが、幻想郷にいると
氷妖精が暴れてるから仕方ないってことになる。
色々諦めがつくというわけだ。


世の中というのは基本的に自分の思うようにはならないものだ。
偶然もあるし、避けがたい災厄もある。
そうした出来事の前にどうして自分だけがそういう目に遭うのかという問いを
外部に求めても結局結論は出ないのだ。


ヴァンパイアの主人も全てが自分の思うようにならないことは分かっている。
だからこそ月人に敗北する運命もきちんと受け入れることができるのだ。
それはすべてを諦めることができるという意味でもある。
だからこそヴァンパイアの主人は過度なストレスを感じることなく幻想郷に適応できているのだ。


ただ単に我が儘なだけだと思ってはいけないようである。