□月 ●日  No831 幻想郷の農民達


あちこちで霜が降りて冬へまっしぐらの幻想郷。
今日は農民の家にお邪魔することになった。霧雨店の配達を委託したからなのだが
彼らの暮らし向きの良さには驚くばかりである。


江戸時代の時からそうだったのだが、実は農民達の暮らしは当時の武士たちと比較しても
かなり良いものであった。 税制は元禄年間から変ってなかったため、農民達は
技術革新による余剰生産力を綿花などよりお金になる作物生産につぎ込んだからだ。
一説によると税率は数十パーセント程度だったという研究結果もある。


幻想郷が今の姿になったとき、農民の影響力はとても大きくなってしまった。
食糧自給の要だからである。
うちの会社が食糧を運び出したのも農民の影響力が極端に大きくなるのを防ぐためと
言われるくらいだ。
ただでさえでも農民達の経済力はかなり上がっていたのでどうにかして
富が農民に集中するのを押さえる必要があったと聞いたことがある。


当然だがうちの寮より家の造りがいい。 もちろん構造上の差はあるが
どう見てもきちんとした職人さんが作っていることがわかる。
そして思った以上に暖かい。
香霖堂に置いてあるようなものも置いてある。 外の世界の庭道具も置いてあって
かなり驚いた。 確かに利用しない手は無い。


一通り配達すると暗くなってしまったので、どうしたものかとあれこれ思案していると
夕食をご馳走して貰えることになった。ぶっちゃけ博麗の巫女よりいいものを食べていた。
もっとも彼女たちの生活環境を考えれば当然なのかも知れない。
一番凄かったのは例の神社で、質素と言うよりダイエット食かジャンクフードの両極端
だったことを考えれば農民の暮らしは天国そのものだ。


困っていることがあったらいつでも言ってくださいと言ったら
農地の上で弾幕ごっこをしないように言って貰えないかと言われた。
休耕しているのをいいことに大量のクレーターを作っているらしい。
肥沃な土地にクレーターができると、埋め戻すための費用がかなりの額になるという。
大迷惑な話だ。


とりあえず言葉が通りそうな妖怪には声をかけておいた。
皆は口々に相手が喧嘩を売ってこなければそうすると言ってきた。
デストロイヤー三人の顔が浮かんでコメントに窮した。