☆月 □日 No 084 逃げちゃ駄目だ


史上最悪の仕事である。 久しぶりに会社をやめたいとおもった。
隙間妖怪から強力な消臭剤と掃除用品が注文された。さらに面子として私と冴月が指名された。
何故か冴月には完全武装が指示された。 明らかにやばい仕事である。
納品場所は廃屋だった。
中に入ると異臭が酷い。 そこには裸の男性数人が虚空に向かってアレな行為をしている。
これがうわさに聞くエアーあれである。
「ここの馬鹿はね、身の程知らずに私を襲おうとしたのよ」
声の主は隙間妖怪らしい。 冴月が教えてくれるまで分からなかった。


この男たちは罪のない人を殺して生贄とした力で幻想郷に侵入したらしい。
そして速攻妄想と現実の隙間を弄られて、無間地獄に嵌ってしまったというわけである。
連中は、隙間妖怪を犯しているつもりになっている。 恍惚とした表情がそれを物語っている。
こういった場合の対処方法は少ない。 冴月が無言で銃を構え、弾丸を放った。
鮮血は結構だが、勿体無いと思ってしまった。 このまま紅魔館に納品したらけっこう喜ばれるからだ。


ところで何故私が選ばれたかというと、「変態に耐性があるから」らしい。
冴月が正気を失ったときに、私がどうにかすることを期待していたというのである。
魂魄や香霖はミイラ取りがミイラになるからといって駄目だったらしい。
とどのつまり私は隙間妖怪に変態引き受け人と思われているようである。
いくら変態と親交があるからといってこの仕打ちは酷すぎる。


辞表を提出しようと思ったら隙間妖怪に盗まれたようだ。
もう嫌だこんな生活。