◎月 ◎日 No 085 それは誤解だ


三月精なる妖精がいるらしい。人間たちにいたずらをするのが趣味と言う存在自体が公害そのものといえる生き物である。
何度と無く博麗の巫女様にボコにされているようなので、これは性分なのだろう。
私はどうなのか、ぶっちゃけ彼女たちは無視できる。 第一仕事が忙しすぎて構っていられない。
ところがこの糞ガキどもは、意地でも私を困らせたいらしい。


光の屈折は追加の観測装置があるので問題なく対処できる。 音をかき消されても痛くもかゆくもない。
気配を察知されても意味がない。 がしかし、
今回のいたずらは度がすぎた。 目の前に泉が広がっている。 私はいつものように無視していると
なんと、泉にあんまり遭いたくない三人の娘の裸体が広がっているではないか。
誰かは怖くていえない。 


やもすれば役得ともいえる事態だが、この行為が相手に察知された場合結末は死しかない。
魂魄がいれば楯にできたがそれも不可能である。
気づかない振りをして無視を決め込むしかない。 覚悟を決めた。
泉の主はこちらに気づいた。 刹那、映像は途切れた。
空から妖精が三匹落ちてきて、ぴくぴくと痙攣している。


私の身に何も起こらなかった。


納品業務を済ますと香霖がにこにこしながら、私のことを同志と言っている。
私の名前にわざわざ「同志」とつけてきて正直気味がわるい。 まるで共産主義国家のような感覚のようだが。
どうやら香霖は私も自分と同類という意味で言っているのかもしれない。
私が納品にうかがうまでの間、私の覗き疑惑は矢よりはやく幻想郷を伝播した。