○月 ×日  No255 不用意に扱わないようにしましょう


香霖堂からトラブル発生の連絡を受けて訪問すると、怪我をして泣いている妖精と
困った顔をしている香霖の姿があった。 
どうやら外の世界の道具が突然動いてしまったらしい。
自然現象を再現できる妖精が偶然丁度いい電気を
発電してしまったと言ったところだろうか。
外の世界の商品を何も考えずに売るというのはやはり危険なことである。


幻想郷では法律というものがない。
いざこざはカードを使用した決闘ごっこでということだろうが
生憎と香霖は私同様に戦闘能力がない。
とりあえず、薬屋のブレザー兎を呼んで治療費の見積もりを出してもらった。
月兎は貨幣経済を理解しているので私の言いたいことはすぐに理解してもらえた。
治療にかかる時間とそれに伴う薬代を香霖の店の商品で計算する。
妖精が好きなお菓子や食べ物を充当すると結構な量になった。


香霖がその物量にびっくりして抗議の声を上げたが、自分の商品に責任を持てと一喝したら
冷静になってくれた。やれやれだ。
だが、こうしたトラブルは日常茶飯事のはずだろう。なぜ彼はいままでやり過ごせたのか?
ふと気が付くと妖精がいない。 そして眼前には赤と黒のデストロイヤーの姿があった。
疑問は氷解したが、私にはこれ以上どうすることもできないので
とりあえず香霖には「妖精にお菓子を渡しておけ」とアドバイスして帰路についた。