○月 △日  No371 妖怪と宇宙食


種子島宇宙センターへ朝倉、岡崎と一緒に視察
幻想郷に運び入れる物資の一部がここに集まっているらしい。
その物資は宇宙食である 妖怪たちが食べる食べ物を視察するのだ。
本来なら食品メーカーに話をするところだが
勘くぐられると危険なため偽装がしやすい宇宙センターに視察に行くのである。


今回は紅魔館のヴァンパイアたちに食べさせるものを
探しにやってきた。
彼女たちが本気で宇宙旅行を考えているので、もし宇宙に行ったときのために
備えが必要ということになったのだ。


味見をすると味がやたら濃い。 無重力下では味覚が減退するためである。
メイド長に教えて損はなさそうなので、宇宙の食べ物のレシピをメモしたり味見
したりしてみる。
辛い物が苦手な岡崎がカレーを食べて悶絶していた。
食べるとスパイスが利きすぎて鼻にじんとくる。


最新型の宇宙服を見せてもらう。
恐ろしく軽装で、本当にこれで大丈夫かと思うくらいの薄いものになっていた。
かなり高度な運動も可能なレベルとなっている。
重量もコストも少なく済むためこれからの宇宙開発にはなくてはならないものに
なりそうだ。


しかし一介の商社がこんな国家の施設に足を踏み入れることができるのは
何故だろうか?
朝倉は「妖怪たちの資本が宇宙開発を止まらないように資金注入を
行っているからだ」と答えた。
聞くと中国の宇宙開発計画などにも資金的に参画しているらしい。
朝倉は「連中の狼狽ぶりが目に浮かぶようだ」と言って微笑んでいた。
玄爺がうちの会社をPMCと読んでいたことを思い出し、大いに納得した日だった。



余談だが種子島と言えばすぐに火縄銃が思い出される。
実は鉄砲伝来は種子島が最初ではないらしい。
海賊たちによってあちこちにもたらされ猟銃として使用していたものを
量産したものだ。


量産するためには基礎的な技術的下地がなくてはいけない。
鉄鋼の加工技術、火薬を取り扱う技術
それらの総合力をもってして技術のコピーが初めて可能となる。


「もし仮に妖怪たちが月へ到達して技術を収奪してもそれらの機構は
ほとんど理解されないまま終わるだろう」というのが
朝倉岡崎ふたりの統一見解である。
もっともヴァンパイアにとっては理解できるかが重要ではないことは
言うまでもない。