□月 ●日  No834 May & Mai ≒ Yuki & Mai?


居るとは思っていたが、魔界出身者で顕界にて活躍している娘がいるようだ。
魔法使いの姉妹だそうで、人形遣いのアリスに近い存在だと聞かされていたが
蓋を開けたらなんと飛行機乗りと聞いてひっくり返った。
聞けば米帝の市民権まで得ているそうである。 我々とは別ルートでの取得のようだ。
流石に5歳という年齢設定は無茶にも程があると思う。


問題は別ルートはどういうルートなのかということだ。
今日、その辺のレポートが内調から上がってきたというので社内で話題になった。
私も小耳に挟んだ程度だったが、程なくして魔界勤務者の情報統制の話になり
ちょっと緊張する。
朝倉がいつになく難しい顔をしていることからも事態の深刻さが伺える。


幻想郷地下の一区画である魔界。 広義では地霊殿や地獄の釜も魔界の一部と定義する
ことが可能である。広義と書いたのは魔界は基本的に魔界神様が統治しているが
実態は巨大化しすぎて末端まで自治が行き渡ってないからである。
この問題が表面化したのが、直接ボスが解決に赴いた魔界神の一件である
魔界の住民が勝手に幻想郷ツアーを始めたのを止めることが出来なかったというのが
事件の顛末であったらしい。
もっともボスに言わせれば魔界による幻想郷探索のためだという。
魔界神はあのおっとりとした雰囲気からは想像つかないほど腹黒いそうで
しばしば隙間妖怪たち幻想郷の賢者を出し抜いていたそうだ。


そこに今回の核融合の話である。
地霊殿プロジェクトの折には魔界神は黙認という立場をとったらしい。
止める理由は見あたらないし、エネルギー問題も一挙解決できるなら
大いにやって結構という立場だと思っていた。
だがここで魔界と米帝とのラインが有る証拠を掴んだとすると
もし地霊殿の一件が放置されていたら米帝核融合技術の所有権を
魔界の一部という理由で主張できたということになる。
結局それを(隙間妖怪の依頼で)博麗の巫女が阻止した恰好だ。
どうも地霊殿プロジェクトは単なる温泉が湧いたとか、妖怪のエネルギー革命とか
そういう話では済まない事情があるようだ。


さて、例の飛行機乗りだがそういえばヴィヴィットと一緒に京都観光に来ていた
糞ガキ二人そっくりだったことを思い出した。
浅間と年増といい、北白河や岡崎と何故か仲がよかった。
年齢と外見の割には大人っぽくてしばしば我々をおちょくっていたから
浅間とともに絶対泣かもとい、因果をたたき込みたいと思っていたが
口を滑らせなくて良かったと思う。
第一私よりずっと年齢が上だったようだ。
岡崎や北白河は余計なことを話していないと言っていたので取りあえず安心したが
分かっていたら対応のしようがあった筈だと思う。


朝倉に大人としてみっともないと言われた。