□月 ●日  No945 イベントど真ん中で入社


彼岸の入りならびに新卒受け入れ。 今年も新卒がやってくる季節である。
一番忙しいど真ん中に新卒が入るため、社員の忙しさは加速している。
そしていきなり幻想郷に配属になった人がどれだけ生き残るのか、それが頭を抱える問題である。


不況になることいいこともある。離職率が大幅に落ちるのだ。 会社を辞めても他に行くところがないから
諦めてその場で頑張るようになる。経営が安定している会社だからこそ言えることである。
うちの部署にも二人ほど新卒が入って来た。部内がまるで砂糖を投げ込まれた蟻のようである。
そしていきなり次の日、深夜からの出社となるのだ。
大変なところに来てしまったと思うだろうが後の祭りである。


彼岸の入りというのはどうしても朝が早くなる。 基本的に夜明けにはお互いがスタンバイしていないといけない。
日付が変わると同時に全ての仕事がスタートする。 
最初ここをみた社員は、ただの夜行列車だと思っている。 
何故我々が夜行列車を管理するのだという顔になっている。 気持ちはよくわかる。 


彼らに幻想郷の存在を説明するのは大変だ。 とにかく見たままのところだと言うしかない。
今年の社員の最初の発言は映画撮影ですかで始まった。 確かにこの人数や衣服を見れば
映画撮影のエキストラに見えなくもない。
弾幕ごっこも彼らにとっては撮影の一場面に見えなくもないのかも知れない。


風見女史の姿を見て綺麗な女優がいたと言ったときはどうしようかと思った。
「綺麗な」の一言で気をよくしたのか本人からお咎めはなかった。 こっちとしてはニトログリセリン
綺麗だと言っているようにしか見えない。 
あと一ヶ月もすると考えが改まると思う。


死神のお嬢が新入社員教育の手伝いをしてくれるようになった。
サボり魔である彼女もサボっていられないほど忙しいのがこの時期である。
大きな鎌を見て、死神のコスプレかと言うので思わず吹いた。 
いや、こいつは現役死神だよと言うと、面白いと言われてしまった。
まあいいや、いずれ現実を知ることになる。


嵐のような一日が終わってへとへとで帰路につく。
大変だろうと声を掛けたらとにかく今のところで頑張るしかないと言っていた。
はてさてどうなることやらと思う。