□月 ●日  No1138 予報システム強化


河童の発明と言ったら、やはり天気予報装置だと思う。
うちの会社で打ち上げた衛星とリンクしつつ、河童達の湿度を感知できる能力と勘を駆使し
かなり正確に予報できると評判である。
この時期になると台風レーダーとしても便利な予報装置であるが、最近あらたな機能を
搭載することになり、ベータテストと相成った。


この話が出た理由は、綿月姉妹からのとある指摘である。
カミ様の力を私物化するのはあまり良くないという話があったのだ。
もちろんこの発言の裏にはカミ様の力を行使するのは月人だけで十分という意図もあるだろうが
自称現人神などの行動を見る限りどう考えても私物化しているとしか思えないわけで
彼女たちの言い分も当然かと思ってしまったりもする。


この問題は実に深刻だ。たとえば局地的な豪雨が起こったとしたら、どこかが渇水状態となる。
カミ様といえどマクロな資源はどうすることもできない。あくまでも配分を調整することしか
できないのである。
こうしたマクロの天気を把握するため今回の予報システムの改良に踏み切った次第。
予報の精度を上げる一方で急な天候変化がどこで行われたか把握することが出来る、
これによってどのような力の行使が行われたのかリアルタイムで分かるようになったと言える。


結果的に言えば特にそつなく終わったという印象。
河童達の仕事は毎度正確で別に大きなトラブルもなく終わってくれるのが良い。
調べてみるとあちらこちらで小異変が起こっていることが分かる。
一番多いのは天人がおこした異変の後始末的現象であるが、数刻もしなうちに異変は解消されるようだ。


こうしてみてみると幻想郷はあちらこちらで小競り合いが行われているのだとよくわかる。
多少のことは目を瞑るが、やはり幻想郷が平和な理想郷という考えは改めたほうがよいだろうと思う。