朝から河童の動きが慌ただしい。
なんでも井戸のポンプが故障したということで緊急修理のため出動しているようである。
この時期、井戸の水位が下がりやすいと言われる。
特に水田用に大量に水を必要する場合があり。自ずとモーターに負荷が掛かっていたようだ。
モーターが続々と顕界から届けられる。
井戸の数々は何処のメーカーの物が付けられているから書面で詳細にまとめられている。
河童はこの辺のマメさが素晴らしい。
幻想郷の場合急斜面が多いためか、灌漑用水は自ずと不足する場合が多い。
地下水は貯まりやすい傾向があるが、急斜面過ぎる幻想郷では水の確保が色々と問題になる。
そこであちこちにため池があり、そこから農業用水を確保するのだがこれにも限界はあるので
幻想入りしていようと関係なく顕界の井戸ポンプを惜しみなく使う場合が多い。
こういう状態なので当然水質もあまりよくない。
元々火山系地層の幻想郷だけに不純物が多く、おまけに酷い硬水なので
給湯器などは定期メンテナンスが必要となっている。
自称現人神の家はこの問題を解決するため、一部上水道で対応している。
霧雨のご息女が水道工事をしないといけない理由もこの点にある。
銅管などは容易に浸食されて破裂することが結構あるからである。
河童の話に戻る。 一般的に修理すれば良いのだがこうなると修理なんて間に合わないので
新しいポンプと交換して、既設ポンプは工場でオーバーホールか分解して廃棄となる。
ところが実際に直さないといけないのはポンプばかりではない。
幻想郷では井戸がかなり深い場所にあるので、井戸に空気を送り込む機構か必要だ。
場合によってはポンプ本体を地下に埋設するケースもある。
こういう時妖怪はとても楽だと思う。
10メートルオーバーのパイプを空を飛びながら引き上げることができるからだ。
その様子はなながら幻想郷に電信柱が立ったような雰囲気となる。
昔はこの様子を別の妖怪を勘違いしたこともあったが、今ではその心配はないらしい。
いい加減学習したとも言えるだろう。
命蓮寺の連中だけはなにかを感じてよく分からない読経をあげていたが
これには河童達も迷惑顔だったことも書いておく。
一輪嬢が後で河童達に謝っていたのは妙な風景だと思った。
それ以外は概ね平和な一日である。 河童達の疲労の色は濃いが致し方ないところである。