□月 ●日  No1542 迷列車でGO


HEYボブ 俺達八雲商事技術部なのにまともに技術の話をしていないじゃないか。
そうだなスティーブ たまには八雲商事の列車について話してみようじゃないか。
OKボブ。


S:ボブD51こと、「デコイチ」って機関車を知ってるか?
B:一番有名な機関車だよなスティーブ。往年の名機と言われているが、そういえば。
S:そうなんだボブ。 この「デコイチ」は八雲商事に最後まで正式採用されなかった機関車なんだ。
B:やぱり有名すぎて幻想入りできなかったからじゃないのかスティーブ。
S:もちろんそれもあるんだけどなボブ。技術的理由もあったんだよ。


S:結局八雲商事に採用された機関車は「デコイチ」の前身であるD50だったわけだがボブ。
B:資料見たスティーブ、この列車は脱線癖があって鬼たちがしばしば脱線補修に
 駆り出されたって話だぜ。 どうして脱線する機関車を使い続けたんだ?
S:ボブ、幻想郷の列車に必要な機能って何だと思う?
B:幻想郷は山間部だから強力な牽引力がいるよなスティーブ。
 地下で荷物を積み卸ししないとできなから登坂力は相当要求されるよな。
S:そうだボブ。現在の八雲商事製列車はメンテナンス性と輸送体積を犠牲にしながらも
 その大半を動力列車にしているのはそのためなんだ。
B:ちょっと待てスティーブ、確か「デコイチ」はD50より馬力があったし速度も出たはずだぞ。
 流石は改良版だよな。
S:その速度はどこから沸いたかが問題なんだよボブ。


S:「デコイチ」は内部気圧も上げられているんだけどなボブ。もう一つ重要な改良が成されていたんだ。
 それが軽量化だった。
B:軽量化はとても重要じゃないかスティーブ。それが何で駄目なんだ?
S:軽くなって馬力が上がったら車輪が空転するんだよボブ。よくデコイチは火花をまき散らしながら
 走り出していただろ。実はD50よりも重心バランスが少々悪くなったんだ。軽量化の為だけどな。
B:ああ分かったスティーブ。それじゃ登坂にはとても不利じゃないか。
S:そういうことだボブ。事実山間部では、なかなかあD50からD51への置き換えが進まなかったって
 歴史的事実があるんだ。 置き換えが進まないと我々も困るんだよ。
B:その引退したD50を我々が買い上げられないからな。
S:そういうことだスティーブ。


S:「デコイチ」は完成度は高かったんだが、もうひとつ問題があってなボブ。
B:更に問題があったのか?スティーブ。
S:小型化も図られていた為居住性も若干犠牲になっていたんだボブ。
B:トンネルとかに入って煙にまかれたら乗務員の命がやばいなスティーブ。
S:まあ中有の路で強引に回収するって話は、どうもこの辺の事故が多発したからって話だな。ボブ。


S:で、結局「デコイチ」はその汎用性からいつまで経っても現役引退しなかったわけだボブ。
B:結果的に八雲商事独自開発列車の開発が急務になったってわけだな。スティーブ。
S:で、俺達がいる技術部ができたってわけだボブ。
B:因果は回る機関車って落ちだなスティーブ。