□月 ●日  No1541 妖怪と年末調整


今年もいつものように年末調整の書類を提出完了。
年末調整が入ってくるといよいよ年末も近いと感じ入る次第。
朝倉が年末調整の資料に手こずっているのも毎度の話。
いや、扶養家族が居ないのに何故こんなに手間取っているのか謎すぎる。
書くべきところはそれほど無いはずだ。


北白河にその辺の理由を聞いたところ、人間と違って
妖怪の場合は年末調整も色々面倒な扱いになるらしい。
朝倉は魔法使いであり染色体的には人間だと思うのだが、
法的には妖怪として扱っており所得税の計算も独自の処理を行っているらしい。


試しに魂魄が提出した書類を見てみると成る程計算方法や
書類が多いし、内容もかなり違うことが見て取れる。
そもそも妖怪から所得税を取っているという政府も政府だと思うのだが
このルールにより妖怪も行政サービスを受けられるという理屈を
考えればそれもやむなしと言ったところか。


つまるところ、本来なら妖怪に年末調整も関係ないのである。
だが所得税を国に支払っている以上は年末調整による還付も
受けられないとおかしいというのがうちの会社にいる法律屋の意見だ。


実際のところは朝倉が年末調整用に発行される保険屋からの封筒を
紛失していることもあることが色々問題になっているようだが
再発行できるのでなんとかなるといえばなるらしい。


妖怪達が税金を払うなんて変な話だなと北白川に尋ねたら、
普段から消費税も支払っているし、昔だったら物品税を支払っているのだから
昔からそうなるようにできているのでしょうと言われた。


案外妖怪の前にもっともしたたかなのはお役所の面々なのではないかと
思う一幕である。